ご挨拶

「第17回日本がん薬剤学会(JSOPP)学術大会」開催にあたって

大会長 有馬 純子
鹿児島市立病院 薬剤部 部長

この度、第17回日本がん薬剤学会(JSOPP)学術大会を鹿児島の地で開催する運びとなりました。昨年と同日程の令和7年6月7日(土)、現地開催のみを予定しております。多くの先生方に息抜きがてら鹿児島に集っていただき、そして多くの情報を持ち帰っていただきたいと願っております。

さて、「がん患者を含めた国民が、がんを知り、がんと向き合い、がんに負けることのない社会」を目指して始まったがん対策基本法も、第3期にはその全体目標が「がん患者を含めた国民が、がんを知り、がんの克服を目指す」となり、さらに2023年3月の第4期ではその文言を大きく変え、「誰一人取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指す」となりました。今や国民病の一つともいえる「がん」医療の世界はその進歩が目覚ましく、医療従事者任せの治療は過去のものと日々感じるところですが、この「取り残さない」にはとても強い意志を感じます。

そこで、今大会テーマのメインキーワードには、「寄り添う」を選びました。患者の生活、声、痛みに寄り添うのはもちろんのこと、患者を支える家族の思い、負担、ともに治療に望む姿勢に寄り添うこと、個別化医療の最適化を進めるための新薬の導入や開発、実践に寄り添うこと、さらには治療を支える他の医療従事者をチーム医療、後ろ盾として、また医療人育成においても支えることなど、様々な「寄り添う」ががん治療の中にはあります。今大会では、皆さんの経験する「寄り添う」を振り返り、そして次の治療に反映させていただきたいと思っています。

日本がん薬剤学会は、出来うる限り最良のがん薬物療法を提供することにより、がん患者の生活の質の向上を図ることを目的とし、International Society of Oncology Pharmacy Practitioners(ISOPP)に連携する組織として、最新のがん薬剤学領域の情報を交換する場を提供することにより、がん薬剤学領域における実務家、研究者の資質向上を図ることを目指しております。

今大会が、今後それぞれの立場から寄り添う最善の治療とサポートに繋がるよう、また最新の研究成果や実践的な知識を共有する場となるよう祈念しております。多くの方のご参加を心よりお待ち申し上げます。